英語の長文問題は、単語をいくら覚えても読めない子がいます。
少し極端に言いました。でも、半分は本当のことです。
単語を覚えても読めない子には、単語以外の原因があります。
そしてその原因は、真面目な子ほど陥りやすいのです。
塾で、何百回も見てきました。
- 英語長文だけ時間が足りなくなるお子さんがいる方
- 単語を覚えても読めない、と悩んでいる方
- 「集中力の問題」と思ってきた方
- 読めない原因は「返り読み」と「訳すことへの執着」
- 英語は前から読む。日本語の語順に直さない
- 毎日10分の練習で、読むスピードが変わる
ある日の塾での出来事
中学3年生のAさん。
模試のたびに、英語だけ時間が足りなくなる。そんな悩みを抱えていました。

うちの子、英語だけ急に止まってしまって。
集中力がないんでしょうか…

時間さえあれば、読めていませんか?
それなら、集中力の問題ではありません。
実際、Aさんは時間があれば、ほとんど読めていました。
問題は、読む力ではなく、読み方の”癖”だったのです。
「返り読み」という落とし穴

その癖を、私は「返り読み」と呼んでいます。
一度読んで意味がわからないと、前の文に戻って読み返す。
それを、ひたすら繰り返す読み方です。
返り読みをしている限り、どれだけ単語を覚えても、時間は足りなくなります。
Aさんは、読む力がないわけではありませんでした。
むしろ、丁寧に読もうとするから、返り読みになっていたのです。
でも、入試には制限時間があります。
一文ずつ戻って読み直す時間は、残念ながらありません。
もう一つの原因「訳すことへの執着」
返り読みとセットでよく見るのが、一語一語を完璧な日本語に訳そうとする読み方です。
たとえば、この英文。「I am a teacher.」

えーと…
私は…先生…です!

意味は合ってる。でも、日本語の語順だね。
英語は前から。「私は/です/先生」の順で読むんだよ。
「なんか気持ち悪い」
最初はみんな、そう言います。
でも、慣れると読むスピードが一気に上がります。
英語の語順のまま、前から意味を取れるようになるからです。
Aさんに教えた3つのこと
① まず「話の流れ」をざっくり掴む
最初から、全部を理解しようとしなくて大丈夫です。
まず「どんな話か」だけを掴む。細かい理解は、後からで間に合います。
② 前から訳す練習を、毎日10分
さっきの「気持ち悪い」読み方を、毎日10分だけ練習します。
英語の語順のまま、前から意味を取っていく。これが、速読の土台になります。
③ 戻り禁止ルールで読む
わからない単語が出てきても、戻らない。
前に進み続けます。
漫画『ONE PIECE』に、振り返らず船を前に進める場面があります。
あの感覚です。
わからない単語は気にせず、前へ。
多くは、後の文脈から意味が取れます。
戻ると、話の流れが崩れてしまいます。
3ヶ月後のAさん

この3つを、毎日10分。
3ヶ月続けたAさんは、次の模試で英語を時間内に読み切れるようになりました。

先生!
最後まで読めました!

でしょう。
読めない子じゃ、なかったんだよ。

集中力の問題じゃなかったんですね。
私、ずっと怒っていました…
責める必要は、ありません。
返り読みは、丁寧さの裏返し。ちゃんと直せる癖です。
| 項目 | 返り読み(NG) | 前から読む(OK) |
|---|---|---|
| 読む方向 | 行ったり戻ったり | 前へ、一方向 |
| 読む速さ | 時間が足りない | 時間内に読み切れる |
| わからない単語 | 戻って止まる | 飛ばして前へ進む |
| 訳し方 | 日本語の語順に直す | 英語の語順のまま |
保護者の方へ
お子さんが英語長文で止まっていても、ため息をつかないでください。
返り読みは、丁寧に理解しようとしている証拠です。
そして、それは修正できる癖です。
「今日は10分、戻らずに前だけ見て読んでみよう」。その一言が、第一歩になります。
- 読めない原因は「返り読み」と「訳すことへの執着」
- 英語は前から読む。日本語の語順に直さない
- わからない単語が出ても、戻らず前へ
- 毎日10分の練習で、読むスピードが変わる
塾講師から一言

15年、2,000人以上を見てきました。
「英語が読めない」と言われる子の多くは、読む力ではなく、読み方の癖でつまずいています。
癖は、必ず直せます。
よくある質問
単語を覚えても、長文が読めません。
原因は単語以外にあることが多いです。まず「返り読み」と「訳しすぎ」を見直してみてください。
戻らずに読むと、意味がわからなくなりませんか?
最初は不安です。ですが、多くは後の文脈で意味が取れます。まずは10分から試してみてください。
前から読む練習は、どうやればいいですか?
短い英文で「英語の語順のまま」意味を取る練習を、毎日10分。慣れると、自然に速くなります。
どれくらいで効果が出ますか?
個人差はあります。ただ、毎日続ければ、数週間〜数ヶ月で変化を感じる子が多いです。
まとめ
長文が読めない本当の原因は「返り読み」と「訳すことへの執着」です。
わからなくても前に進む練習を、毎日10分。
これだけで、読むスピードは変わります。
まずは今日、10分から始めてみてください。
実は、返り読みを直しても読めない子には、もう一つ共通の原因があります。
それを放置すると、せっかくの努力が空回りしてしまいます。
次回は、その原因を、実際の塾での事例をもとに解説します。
お楽しみに!

